Classici giapponesi con furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Leggi 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 79.469 caratteri · 157 schermate
同伴者がペコペコに腹が減っていたのだから無論、大食漢の頭山満氏も空腹を感じていたに相違ないのであるが、何しろ飯屋は愚か、百姓家すら見当らないので、皆空腹を抱えながら日の暮れ方まで歩き続けた。
そのうちに、やっと一軒の汚ない茶屋が路傍に在るのを発見したので、一行は大喜びで腰をかけて、何よりも先に飯を命じた。ちょうど頭山満氏が第一パイ目の飯を喰い終るか終らない頃、その茶屋の赤ん坊が、頭山満氏のお膳の上の副食物を眼がけて這いかかって来るうちに、すこしばかり立上ったと思うと、お膳の横に夥しい粘液を垂れ流し、その上に坐って泣き出した。
それと見た茶屋の女房が、直ぐに走り上って来て、何かペチャクチャ云い訳をしながら、自分の前垂れを外して、その赤ん坊の尻を拭い上げて、その粘液の全部を前垂れにグシャグシャと包んで上り口から投げ棄てると、そのまま臭気芬々たる右手を頭山満氏の前に差出した。
「ヘイ。あなた、お給仕しましょう。もう一杯……」
頭山満氏黙々として箸を置いた。
「モウ良え。お茶……」
頭山翁の逸話は数限りもない。別に一冊の書物になっている位だからここにはあまり人の知らないものばかりを選んで書いた。