Classici giapponesi con furigana
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れんかんき
連環記
幸田 露伴
Leggi 連環記 (れんかんき) di 幸田 露伴 (こうだろはん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.281 caratteri · 95 schermate
人間同士、甘んじて犠牲となり合うのが愛であり、犠牲を強要しあうのが争闘であり、然様でない犠牲の自、他、中間の種々相は即ち娑婆世界の実相である。自分はもう幻影に過ぎなかった愛の世界を失って娑婆即ち忍苦の世界の者となったのみだ、其娑婆に在って又ふたたび幻影の世界を求めて、遅かれ速かれふたたび浅ましい物の香に接しようとも思わぬ、と取留めも無く、物を思うでもなく、思わぬでもなく、五月雨のしとしとと降る頃を、何か分らぬ時を過した。もう然様いう境界を透過した者から云わせれば、所謂黒山鬼窟裏の活計を為て居たのであった。そこへ従僕が突として現われて、手に何か知らぬ薄い筐様のものを捧げて来た。
「何か」と問うと、老いた其男の答は極めて物しずかであった。「其のさま卑しからぬ女の、物ごしもまことに宜しくはあれどいたく貧苦愁苦にやつれて見えたるが、願はくは此鏡を然るべく購ひ取りてたまはれかしとて持参り深々と頼み入りましてのことに、強くは拒み兼ねて、要無きこととは存じましたれど、御眼の前にもてまゐりたり」という。鏡が今の定基に何のかかわりがあろう。然し定基は何彼と尋ねると、いずれ五位六位ほどの妻であろうか、夫の長い病の末か、或は何様いうかの事情の果にいたく窮乏して、如何ともし難くなって、吾が随一の宝の鏡を犠牲にして売って急を凌ごう