Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うんめいろんしゃ

運命論者

国木田 独歩

Leggi 運命論者 (うんめいろんしゃ) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.357 caratteri · 34 schermate

Aozora Bunko

僕の生の父母は未だ年が若く、父は三十二、母は二十五であったそうです。けれども母の籍が未だ馬場の籍に入らん内に僕が生れ、其為でしょう、僕の出産届が未だ仕てなかったので、大塚の父は僕を引取るや直に自分の子として届けたのだそうです。

以上の事を話して大塚の父のいうには、

『其後私は間もなく山口を去ったから、お前を私の実子でないと知るものは多くないのじゃ。私達夫婦は飽くまで実子の積でこれまで育てて来たのじゃ。この先も同じことだからお前も決して癖見根生を起さず、何処までも私達を父母と思って老先を見届けて呉れ。秀輔は実子じゃがお前のことは決して知らさんから、お前も真実の兄となって生涯彼れの力ともなって呉れ。』と、老の眼に涙を見るより先に僕は最早泣いて居たのです。

其処で養父と僕とは此等の秘密を飽くまで人に洩さぬ約束をし、又た僕が此先何かの用事で山口にゆくとも、たゞ他所ながら父母の墓に詣で、決して公けにはせぬということを僕は養父に約しました。

其後の月日は以前よりも却って穏かに過たのです。養父も秘密を明けて却って安心した様子、僕も養父母の高恩を思うにつけて、心を傾けて敬愛するようになり、勉学をも励むようになりました。