Classici giapponesi con furigana
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どうそもんどう
道祖問答
Leggi 道祖問答 (どうそもんどう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2227 caratteri · 5 schermate
――それが、まだ一番鶏も鳴かないのに、こっそり床をぬけ出して、酒臭い唇に、一切衆生皆成仏道の妙経を読誦しようとするのである。……
阿闍梨は褊袗の襟を正して、専念に経を読んだ。
それが、どのくらいつづいたかわからない。が、暫くすると、切り燈台の火が、いつの間にか、少しずつ暗くなり出したのに気がついた。焔の先が青くなって、光がだんだん薄れて来る。と思うと、丁字のまわりが煤のたまったように黒み出して、追々に火の形が糸ほどに細ってしまう。阿闍梨は、気にして二三度燈心をかき立てた。けれども、暗くなる事は、依然として変りがない。
そればかりか、ふと気がつくと、灯の暗くなるのに従って、切り燈台の向うの空気が一所だけ濃くなって、それが次第に、影のような人の形になって来る。阿闍梨は、思わず読経の声を断った。――
「誰じゃ。」
すると、声に応じて、その影からぼやけた返事が伝って来た。
「おゆるされ。これは、五条西の洞院のほとりに住む翁でござる。」
阿闍梨は、身を稍後へすべらせながら眸を凝らして、じっとその翁を見た。翁は経机の向うに白の水干の袖を掻き合せて、仔細らしく坐っている。