Classici giapponesi con furigana
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さけぬさんざ
避けぬ三左
山本 周五郎
Leggi 避けぬ三左 (さけぬさんざ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.846 caratteri · 22 schermate
それでも彼は決して飽きたという顔をしないのだ。いかにも恍惚したような眼つきで空を見あげながら、さも気持のよさそうな声で呟く、――ああ、いい天気だな。それで「天気の三左」というもうひとつの綽名ができているのだ。
三左衛門はまだ戦場でこれという手柄をたてていない。もっとも五年まえ、信濃の真田攻めの折に、ちょっと合戦に加わっただけであるが、その戦いぶりは鈍重で、将来もたいした期待はかけられぬという評判である。しかし、主君榊原康政はそう見てはいないらしい。――あいつの中にはなにかありそうだ、なにかやりそうに思える。しばしば側近の者にそうもらしていた。どちらの鑑識が当っているか、当の三左衛門はのんびりと天気をよろこび、悠々閑々と日を送っていた。
ところがこの十日余り、彼のようすが急に変ったのである。「いい天気だ」と云わなくなった。
動作はあいかわらず鈍重だけれども、顔つきがどこか沈んで、云ってみればなにか重い荷物でも背負った人のようにみえる、――三左がどうかしたらしい。からだでも悪いのではないか。まさか恋患いでもあるまいが。そんな噂がたちはじめたので今日しも、口の軽い若侍が「いい天気だな」