Classici giapponesi con furigana
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ごうすけほうし
郷介法師
国枝 史郎
Leggi 郷介法師 (ごうすけほうし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.163 caratteri · 21 schermate
……」
老いたる乞食はヒョロヒョロと敷いていた筵から立ち上ったが、その表情にもその態度にも、一種異様なものがあった。恐れに恐れていた幽霊に、避けに避けていた悪運に、突然ぶつかった人かのような、絶体絶命の恐怖の情がまざまざと現われていたのであった。
5
当時、すなわち永禄の頃には、備前の国は三人の大名が各自三方に割居して、互いに勢いを揮っていた。谷津の城には浮田直家、龍の口城には最所治部、船山城には須々木豊前。――そうして勢力は互格であった。
最所治部の龍の口城へ、ある日一人の若侍が、父だと云う老人を連れて、さも周章しく駈け込んで来た。手足から鮮血を流している。
「私事は浮田の家臣岡郷介と申す者、寃罪によりまして、主人のためかくの如きの折檻、あまりと云えば非義非道、ことには重代の主従ではなし、絶縁致すはこの時と存じ、一人の父を引き連れまして、谷津の城を抜け出し、ここまで参りましてござります。承わりますれば最所殿には士を愛する名君との事、願わくば随身仕り、犬馬の労を尽くしたく、そのため参上致しましてござるが、貴意いかがにござりましょうや?」
これが若侍の口上であった。