Classici giapponesi con furigana
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さけのついおく
酒の追憶
Leggi 酒の追憶 (さけのついおく) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6870 caratteri · 14 schermate
ちょうどその時、伊馬春部君も、これが最後かも知れぬと拙宅へ鉄かぶとを背負って遊びにやって来ていて、私と伊馬君は、それは耳よりの話、といさみ立って丸山君のお伴をした。
その夜、秋田に於いて、常連が二十人ちかく、秋田のおかみは、来る客、来る客の目の前に、秋田産の美酒一升瓶一本ずつ、ぴたりぴたりと据えてくれた。あんな豪華な酒宴は無かった。一人が一升瓶一本ずつを擁して、それぞれ手酌で、大きいコップでぐいぐいと飲むのである。さかなも、大どんぶりに山盛りである。二十人ちかい常連は、それぞれ世に名も高い、といっても決して誇張でないくらいの、それこそ歴史的な酒豪ばかりであったようだが、しかし、なかなか飲みほせなかった様子であった。私はその頃は、既に、ひや酒でも何でも、大いに飲める野蛮人になりさがっていたのであるが、しかし、七合くらいで、もう苦しくなって、やめてしまった。秋田産のその美酒は、アルコール度もなかなか高いようであった。
「岡島さんは、見えないようだね。」
と、常連の中の誰かが言った。
「いや、岡島さんの家はね、きのうの空襲で丸焼けになったんです。」
「それじゃあ、来られない。