Classici giapponesi con furigana
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そらとぶあくま
酒井嘉七探偵小説選 〔論創ミステリ叢書34〕
酒井 嘉七
Leggi 酒井嘉七探偵小説選 〔論創ミステリ叢書34〕 (そらとぶあくま) di 酒井 嘉七 (さかいかしち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.471 caratteri · 28 schermate
「私は父の怨を晴したいのです」
「どういう意味か私には分りません」
「十五年前に、あなたは私の父を地上から抹殺しました」
「殺害したと仰有るんですか? 警察も当時はそうした意見でした。しかし証拠は発見されなかった筈です」
「そうです。証拠があれば、あなたは十五年前に絞首台に上っています」
彼は口を閉じると、思いがけなくも怱々と立ち上った。そして、
「私は機会を待ちます。今までも待っていました」
といい捨てると大股に座敷を歩いて、階段の下に消えて行った。
○月 ○日
赤沢荘三郎の子息は今日も姿を見せなかった。あれからもう五日になる。彼の出現を待ちうけるようになったいまの自分の心境を私は自分でも不可解に思う。
○月 ○日
昼すぎである。彼が見えたという老女の言葉に私は階段のところまで彼を迎えた。彼は無遠慮に私の目に突っ立ったまま、
「今日はお部屋の中を詳しく拝見させて頂くつもりで参りました。私は父がこの二階に住んでいたということを確実にしたいのです。御研究のお邪魔はいたしません」
「よろしい。どうか御勝手に行動下さい」
私はこういって、論文の最後の数枚の執筆をつづけた。