Classici giapponesi con furigana
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じゅうきちひょうりゅうきぶん
重吉漂流紀聞
久生 十蘭
Leggi 重吉漂流紀聞 (じゅうきちひょうりゅうきぶん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.456 caratteri · 52 schermate
そうであったら、親兄弟にもかえて大切にしなければならぬと思うと、とても寝てはいられず、豆を煎る間に薪をこしらえ、ランビキするひまに水を汲み、こうなってからは米を囲っておいてもなにになるものかと、ありったけの米をさらけだし、残りなく重湯にして啜らせた。そうまでしてみたが、人間の力ではひとの定命を半日繰延すこともむずかしく、五月の八日に半田村の七兵衛が死んだ。こういう暑気に死骸をとりおさめておくのはどうかと思ったが、このまま海へ投げたら、残ったものたちが、おれらもああされるかと力を落すだろう。そう思って、腐臭が立つのもかまわずに座敷つづきの雑倉の板の間に安置した。つづいて十六日に楫取の藤介が死んだ。二十八日に飯炊の房次郎が十六歳で死んだ。六月十二日に庄兵衛と伊豆の子浦の福松が死んだ。十三日に出家になった賄の孫三郎が死んだ。十七日に乙川村の為吉が死んだ。十八日に伊豆柿崎の三郎助が死んだ。二十日に田子村の丑蔵が死んだ。二十八日に子浦の安兵衛が死んだ。五月八日から六月二十八日までに十人がつぎつぎに死に、重吉ほかに、伊豆の音七と亀崎の半兵衛だけが生残った。
八月朔日と二日に、十一ヵ月目ではじめて大雨があった。