Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate

Aozora Bunko

自分はこれを見て、また強く亡き人の俤を思い出さずにいられなかった。

くりくりとしたつむり、赤い縞の西洋前掛けを掛け、仰向いて池に浮いていたか。それを見つけた彼の母の、その驚き、そのうろたえ、悲しい声を絞って人を呼びながら引き上げたありさま、多くの姉妹らが泣き叫んで走り回ったさまが、まざまざと目に見るように思い出される。

三人が上がってきて、また一しきり、親子姉妹がいってかいないはかな言を繰り返した。

十二時が過ぎたというので、経机に燈明を上げた。線香も盛んにともされる。自分はまだどうしてこの世の人でないとは思われない。幾度見ても寝顔は穏やかに静かで、死という色ざしは少しもない。妻は相変わらず亡き人の足のあたりへ顔を添えてうつぶしている。そうしてまたしばしば起きてはわが子の顔を見まもるのであった。お通夜の人々は自分の仕振りに困じ果ててか、慰めの言葉もいわず、いささか離れた話を話し合うてる。夜は二時となり、三時となり、静かな空気はすべてを支配した。自分はその間にひとり抜け出でては、二度も三度も池のまわりを見に行った。池の端に立っては、亡き人の今朝からの俤を繰り返し繰り返し思い浮かべて泣いた。