Classici giapponesi con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate
手のひらに載せてみて、しみじみとその美しさに見とれている。
「おとよさんは実に親切な人だ」
また一言いって玉を見ている。
省作はからだは大きいけれど、この春中学を終えて今年からの百姓だから、何をしても手回しがのろい。昨日の稲刈りなどは随分みじめなものであった。だれにもかなわない。十四のおはまにも危うく負けるところであった。実は負けたのだ。
「省さん、刈りくらだよ」
というような掛け声で十四のおはまに揉み立てられた。
「くそ……手前なんかに負けるものか」
省作も一生懸命になって昼間はどうにか人並みに刈ったけれど、午後も二時三時ごろになってはどうにも手がきかない。おはまはにこにこしながら、省作の手もとを見やって、
「省さんはわたしに負けたらわたしに何をくれます……」
「おまえにおれが負けたら、お前のすきなもの何でもやる」
「きっとですよ」
「大丈夫だよ、負ける気づかいがないから」
こんな調子に、戯言やら本気やらで省作はへとへとになってしまった。おはまがよそ見をしてる間に、おとよさんが手早く省作のスガイ藁を三十本だけ自分のへ入れて助けてくれたので、ようやく表面おはまに負けずに済んだけれど、そういうわけだから実はおはまに三十本だけ負けたのだ。