Classici giapponesi con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate
おとよさんの秘密に少しも気づかない省作は、今日は自分で自分がわからず、ただ自分は木偶の坊のように、おとよさんに引き回されて日が暮れたような心持ちがした。
三
今日は刈り上げになる日であったのだが、朝から非常な雨だ。野の仕事は無論できない。丹精一心の兄夫婦も、今朝はいくらかゆっくりしたらしく、雨戸のあけかたが常のようには荒くない。省作も母が来て起こすまでは寝かせて置かれた。省作が目をさました時は、満蔵であろう、土間で米を搗く響きがずーんずーと調子よく響いていた。雨で家にいるとせば、繩でもなうくらいだから、省作は腹の中ではよいあんばいだわいと思いながら元気よく起きた。
省作は今日休ませてもらいたいのだけれど、この取り入れ最中に休んでどうすると来るが恐ろしいのと、省作がよく働いてくれれば、わたしは家にいて御飯がうまいとの母の気づかいを思うと休みたくもなくなる。
「兄さん今日は何をしますか」
「うん仕方がない、繩でもなえ」
「兄さんは何をしますか、繩をなうならいっしょに藁を湿しましょう」
「うんおれは俵を編む、はま公にも繩をなわせろ」
省作は自分の分とはま公の分と、十把ばかり藁を湿して朝飯前にそれを打つ。