Classici giapponesi con furigana
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きんごじゅうりょう
金五十両
山本 周五郎
Leggi 金五十両 (きんごじゅうりょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.843 caratteri · 23 schermate
「……おれはのたれ死をする覚悟まで決めたが、元の起こりは――伯母に掠われた四十五両、それが返ったと思っちゃ悪いだろうか、これだけあれば小さくとも店が持てる、そしてお滝さん、……もしおまえに障りがないんなら、私と一緒に苦労をして貰いたいんだ」
お滝はしずかに男の眼を見た。
……自分の気持が彼のほうへ、ありきたりでなく惹かれていることに、自分でびっくりしたような眼つきだった。それが男にも手で触るように通じた。
「今朝ここを立ってから、私の胸はお滝さんおまえのことでいっぱいだった、たった三日だったけれど、私はおふくろに抱かれたあとのようにここのところが温たかく、だらしのないほど別れてゆくのが辛かった、生れて初めてだ、こんな気持になったのは生れて初めてなんだ、お滝さん私はこれ以上もうなんにも云えない、けれども本気だということはわかって貰えると思うんだ」
「世の中に本当のものなんぞありあしないって、ゆうべ御自分で仰しゃったわね」
お滝はじっと男の顔を見た。
「あれからまる一日も経たないのに、こんどは貴方の云うことを信じろと仰しゃるんですか」
「それとこれとは違うよ、私がどんなめに遭ったかは精しく話した、あれを覚えていたら、私のああ云ったことはわかって呉れる筈だ」