Classici giapponesi con furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.760 caratteri · 24 schermate
「なんでえ、まるっきり洋犬じゃねえか。くそ面白くもねえ、そう言うお前はいってえ、何の臭いだか、え、彦、自身で伺いを立てて見なよ。」
中っ腹の勘次はよくこう言っては、癪半分の冷笑を浴びせかけた。そんな場合、彦兵衛は口許だけで笑いながら、いつも、
「俺らか、俺らあただのちゃらっぽこ。」
と唄の文句のように、言い言いしていた。このちゃらっぽこが果して勘次の推測どおり、唐の草根木皮の一種を意味していたものか、あるいはたんに卑俗な発音語に過ぎなかったものか、そこらは彦兵衛自身もしかとはきめていないようだった。この男には大分非人の血が混っているとは、口さがない一般の取沙汰であったが、勘次も藤吉も知らぬ顔をしていたばかりか、当人の彦兵衛はただにやにや笑っているだけで、頭から問題にしていないらしかった。
薬研堀べったら市も二旬の内に迫ったきょうこのごろは、朝な朝なの外出に白い柱を踏むことも珍しくなかったが、ことにこの冬になってから一番寒いある日の、薄氷さえ張った夜の引明け七つ半という時刻であった。出入先の同心の家で、ほとんど一夜を語り明かした藤吉は、八丁堀の合点長屋へ帰って来ると間もなく、前後も不覚に鼾を掻き始めたその寝入り端を、逆さに扱くようにあわただしく叩き起されたのであった。