Classici giapponesi con furigana
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つりしのしんきょう
釣り師の心境
Leggi 釣り師の心境 (つりしのしんきょう) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5544 caratteri · 11 schermate
私の立場というものも苦痛なのである。この青年は戦死したそうであるが、生きていれば、代議士ぐらいになって、取手町国立公園論をぶったかも知れない。それぐらいの熱狂ぶりであったし、その奇妙な熱狂を取り去れば、非常にカンのよい商売上手な子供であった。
下村千秋、上泉秀信、本屋のオヤジ一行は時々釣りに来たが、私は二度だけ、小一時間ぐらい見物に行ったゞけである。一行がくるという前の晩に、倅が近所の百姓ジイサンをつかまえて、どこが今、釣れるかね、などときくのである。
「古利根がよかっぺ」
とか、どこぞこは、もう、ダメだっぺ、というようなことを答える。答えるジイサンも釣りをしているワケではない。たゞ水面をジッと睨むと、魚がいるかいないかチャンと分る名人なのだそうである。野良仕事の行き帰りに、川や湾をジッと睨んで、チャンと頭にとめておいて、釣りに行こうという人に教えてくれるのであった。
一度は利根川へ舟を浮べて釣るのを見物した。小一時間つきあって、三人合計して一匹しか釣らなかった筈である。それでも釣り終えて帰る時には、各自四五匹ずつは釣っていたようであった。塵もつもれば山となる、というのが釣りの心境かも知れない。