Classici giapponesi con furigana
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すずきもんど
鈴木主水
久生 十蘭
Leggi 鈴木主水 (すずきもんど) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.827 caratteri · 26 schermate
主水は伝内の独り子で、前髪があって小主水といっていたころから政祐の給仕を勤めていたが、生れつき器量がよく、評判のある葺屋町の色小姓でさえ、主水の前へ出ると袖で顔を蔽って恥らうというほどの美少年だったので、寵愛をうけて近習に選ばれ擬作高百石の思召料をもらった。主水の美貌は当時たぐいないほどのものだったらしい。膚がぬけるように白く、すらりとした身体つきで、女でさえ羨ましがるような長い睫毛の奥に、液体のなかで泳いでいるような世にも美しい眼がある。人形にもならず、といって絵にもならず、生れながらそなわった品のいい愛嬌があって、いちど見ると、久しく思いが残って忘れかねたということである。
近習時代のことだが、髪は白元結できりりと巻いた大髻で、白繻子の下着に褐色無地の定紋附羽二重小袖、献上博多白地独鈷の角帯に藍棒縞仙台平の裏附の袴、黒縮緬の紋附羽織に白紐を胸高に結び、大振りな大小に七分珊瑚玉の緒締の印伝革の下げものを腰につけ、白足袋に福草履、朱の房のついた寒竹の鞭を手綱に持ちそえ、朝々、馬丁を従えて三河台の馬場へ通う姿は、迫り視るべからざるほどの気高い美しさをそなえているので、毎度、見馴れている町筋の町人どもも、その都度、吐胸をつかれるような息苦しさを感じて、眼を伏せるのが常だったとつたえられている。