Classici giapponesi con furigana
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てつのしょじょ
鉄の処女
大倉 燁子
Leggi 鉄の処女 (てつのしょじょ) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.706 caratteri · 42 schermate
その時始めて、弟と私との間の大きな隔りを知り、情けない思いに一夜船を見ながら泣き明しました。
半年後、帰朝の途にあった一行は、再びシンガポールに一泊することになりました。
こんどこそはと決心して、物売りに化け、彼の船室に入り込んだのです。
港へ船が着くと、よく土人や支那人が名産物を持って、ガヤガヤと入り込みます。私はその中に交って、弟の室に入り、中から自分で鍵をかけたのです。
弟は最初私を見て大層驚き、顔色を変えていきなり手近かのベルを押そうとしましたので、その手を押えますと、弟は蒼い顔をして睨みつけながら、
『無礼な真似をするな』
怒鳴りつけましたが、何を思ったのか急に低声になって、こんな事を云いました。
『彼女と一緒じゃないよ、誤解してくれちゃ困る』
と云って苦笑しました。弟の態度が和らいできたので、私も幾分軽い気持ちになり、
『何云っているんだよ、オイ、僕だ』
私は彼の肩へ手をかけますと、彼はまた二三歩後へ下って、
『君はあの女の亭主じゃないのか?』
と云って額の汗を拭い、夢からさめたようにほっと溜息を吐いて、云い訳でもするようにいうのでした。
『どうもいろんな奴がやって来るもんだからね、僕はまた暴力団かと思ったんだ。