Classici giapponesi con furigana
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てつのきりつ
鉄の規律
平林 初之輔
Leggi 鉄の規律 (てつのきりつ) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.016 caratteri · 30 schermate
通りに面した窓の左寄りに書物机があって、その上にはインク壺とペンとがのっている。机の前には、回転椅子が一つそなえつけてある。その他には、側置卓子が一つと屑籠が一つころがっているきり――これがこの室の全調度である。
マスクの男は素早く室内をしらべおわると、ポケットから紙片をつまみ出して、扉の鍵穴につめ、ゆっくりと卓子のそばへ進み寄って、台ランプのスイッチをひねり、それから懐中電灯を消してポケットの中へしまいこんだ。広い室の中に五燭の電灯がぽっかりついた。三尺とはなれては、新聞さへ読めない程の薄暗さである。窓にはシェードがおろしてあるし、鍵穴にもふたがしてあるので、光は全く室外には洩れない。
男はどかりと一つの椅子にすわって、腕時計を見た。
一分たった。
扉の外にコンコンと、よく耳をすまさなければ聞きとれないくらいなノックがして、第二の男が、やはりマスクをつけて、はいってきた。この男は真っ白なリンネル〔亜麻織物〕の背広を着て、きれいに手入れをした白靴を穿いていた。二人ともまるで見知らぬ人同士のように言葉もかけず、ほとんど顔を見合わしすらしなかった。第二の男は、第一の男にむかいあった椅子に腰をかけた。