Classici giapponesi con furigana
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ぎんさんじゅうまい
銀三十枚
国枝 史郎
Leggi 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.863 caratteri · 73 schermate
妻も唾を飲んだらしい。運転手が扉を開けようとした。
「待て」と私は嗄声で制した。窓のカーテンを掻い遣った。妻の鬢の毛が頬に触れた。
佐伯家の厳めしい表門が、一杯に左右に押し開けられていた。赤筋の入った提燈が、二つ三つ走り廻っていた。遠巻きにした見物が、静まり返って眺めていた。門の家根から空の方へ、松の木がニョッキリ突き出していた。遥かの町の四つ角を、終電車が通って行った。
刺すような静寂が漲っていた。
「おい、運転手君、引っ返しておくれ」
――で、タクシは引っ返した。
彼女は何とも云わなかった。彼女の肩が腕の辺りで、生暖かく震えていた。
何か捨白が言いたくなった。
「捕り物の静けさっていうやつさね。旅行しますと云ったっけ。ははあ刑務所のことだったのか。佐伯君、警句だぞ」
勿論腹の中で云ったのであった。
12
その翌日の新聞は、刺戟的の記事で充たされていた。大標題だけを上げることにしよう。
国際的大詐欺師
佐伯準一郎捕縛さる
勿論特号活字であった。
欧米、南洋、支那、近東、こういう方面を舞台とし、十数年間組織的詐欺を、働いていたということや、日本知名の富豪紳士にも、被害者があるということや、数ヶ月前名古屋に入り込み、ために司法部の活動となり、捜索をしていたということや、昨夜何者か密告者があって、始めて所在を知ったという