Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ぎんさんじゅうまい
銀三十枚
国枝 史郎
Leggi 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.863 caratteri · 73 schermate
円頓寺街路を歩いていた。霧の深い夜であった。背後から自動車が駛って来た。
「馬鹿野郎!」と運転手が一喝した。
危く轢かれようとしたのであった。憤怒をもって振り返った。窓のカーテンが開いていた。紳士と淑女とが乗っていた。私は淑女に見覚えがあった。それは私の妻であった。彼女も私を認めたらしい。唇の間から義歯を見せた。紳士にも私は見覚えがあった。当市一流の紳商であった。新聞雑誌で知っていた。六十を過ごした老人で精力絶倫と好色とで、世間に有名な老紳士であった。
私はクラクラと眼が廻った。が、飛びかかっては行かなかった。肩を曲め背を丸め、顔を低く地に垂れた。そうして撲たれた犬のように、ヨロヨロと横へ蹣跚いた、私は何かへ縋り付こうとした。
冷たい物が手に触れた。それは入口の扉であった。私は内へ吸い込まれた。
真正面に人がいた。狭い額、飛び出した眼、牛のような喉、突き出した頬骨、イスカリオテのユダであった。
珈琲店であった。鏡であった。私は写っていたのであった。
イエス・キリストがそれを呪った。マグダラのマリヤがそれを呪った。イスカリオテのユダがそれを呪った。