Classici giapponesi con furigana
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ぎんさんじゅうまい
銀三十枚
国枝 史郎
Leggi 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.863 caratteri · 73 schermate
県知事さんと」
大変サッパリした返辞であった。――それだから私には安心であった。
「お前は知っていて売ったのかい? ユダの紋章のある貨幣だけは、すくなくも本物の白金だと」
「いいえ」と彼女は笑いながら云った。
「あのユダという人間が、一番厭らしい顔付きでしょう、それで妾売ったのよ」
「なるほど」と私は胸に落ちた。
「そうだすくなくもイスカリオテのユダは、女や小供には喜ばれない、そういう顔の持主だ」
私達二人は平和であった。
しかし私は時々思った。
「キッスぐらいは許したかもしれない」
だが直ぐ私は思い返した。
「いいではないかキッスぐらいは、私だってこれまでいろいろの女に、随分唇を触れたではないか」
穏かに時が流れて行った。
ここに一つ残念なことには――だが良人たる私にとっては、かえってひどく安心な事には、――彼女の容色がにわかに落ちた。
それは苦労をしたからであった。
いつも重荷を担いでいる、田舎の百姓の女達が、早くその美を失うように、彼女も重荷を担いだため、俄然縹緻を落としてしまった。
精神的にしろ肉体的にしろ、あんまり重荷を担ぐことは、不為のように思われる。