Classici giapponesi con furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Leggi 銀座復興 他三篇 (いさん) di 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.579 caratteri · 82 schermate
私は子供にも浮世の風はあてまいと決心して、学校にもやらず、おもてにも連れて出ず、全く家の中で育てました。それがいつまでつづくか、大人になったら自分の考えで、塀の外の世の中に憧れ出るかもしれないのですが、その時はその時で、本人の自由にさせる外ありますまい。ただ私としては、あの子も塀の外に出て、決して幸福ではないと信じているのです。ところでどうでしょう。地震という奴は、私が頼みにしていた塀を土台から崩してしまいました。私が危険だ危険だと思っていた塀の外に、親子手をつないでかけ出さなければならなかったのです。」
隣人はひどく興奮し、声がつづかなくなるまで一気に話した。
「ああ、久しぶりで喋った。こんなに口数をきいたのは生れてはじめてです。これも地震のしわざでしょう。」
と云って苦笑した。
彼は胸が迫って、何と相槌を打つ事も出来ずに、ただ相手の顔を見守った。
天変によって取除かれた煉瓦塀の崩れから、井原富吉氏と彼との交通は自然に開けた。自分の家の者以外はすべて敵だと堅く信じて来た隣人は、本と新聞によって養われた知識に一切の判断を托していた。都下の新聞はすべて読み、その報道の嘘もまことも、そのまま暗んじていた。