Classici giapponesi con furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Leggi 銀座復興 他三篇 (いさん) di 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.579 caratteri · 82 schermate
それでも、二人の間には何かにつけて隣の噂が繰返された。
「この頃賢一が毎日遊びに行くんですよ。いいんでしょうか、うっちゃっといて。」
「ひとのうちへ無闇に入って行くのはいい事じゃあないが、子供同志の事だから構わないだろう。」
「でも、なんだか気味が悪いのよ。あの女の子のお父さんていうのが、恐い顔して、一言も口をきかずに見ているんですって。」
「余程変なうちだなあ。」
「変ですとも。第一こんなにひとのうちに塀が倒れ込んでいるのに、挨拶にも来ないじゃないの。まさかいつまでも放って置く気ではないでしょうけどね。」
「いいじゃあないか。目の前に高い塀がつっ立っているよりも、広々としてこのままの方がいいぜ。」
「だって不用心だわ。」
「用心の悪いのはお隣さ。こっちは泥棒が入ったって盗まれる物もありゃあしないや。」
そうは云いながら、彼とてもその崩れた煉瓦塀がいつまでもそのままで、やがて秋めいて来た景色の、段々わびしくなるのを見て、時折気にする事もなくはなかった。
彼は新聞と雑誌に続物を引受けていて、毎日机の側をはなれる事の出来ないからだだった。夜は遅くまで起きているため、昼間は机にむかいながら、ついぼんやりしている事が多かった。