Classici giapponesi con furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Leggi 銀座復興 他三篇 (いさん) di 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.579 caratteri · 82 schermate
一例としては、或時麹町の曲淵の本邸の庭にのぞんだ座敷に、甲子の友達が集っているところを、何も知らずに澤が通りかかった事があった。若い派手づくりの令嬢達の見る目にびくびくして、耳のかげまで赤くなって足早に過ぎたが、何かささやき合う気配を感じたと思うと、
「あら、違うわ。うちの書生みたいな人なのよ。」
と声変のしている甲子の打消すのが聞えた。続いて賑かに笑う声に追われるように逃げ出した澤は、屈辱の念に堪えられなかった。自分とは全く違う世界の人間だと云う事が、常識の発達した実業家志望の青年の頭脳には、別段の無理もなくはっきりとわかった。
「どうせ私なんか犯罪人の娘よ。」
と、なげやりな口をききながら、腹の底にはしっかりした信念を持っていそうな養子の方が、段々親しみを増して来た。一郎にしても、娘達にしても、浮々とその日その日を遊び暮しているばかりで、取り止めた考というものは何ひとつ持っていないのに、養子はとにかく学問にも実社会の問題にも多少の理解は持っていて、同じ新聞を読むにしても、音楽会や運動会の記事に兄妹が興じている時、澤と二人の話は大人の会話だった。