Classici giapponesi con furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Leggi 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.745 caratteri · 216 schermate
そのままズルズルと引き出すと、まず手探りで金額を数え、じっとなって立ち縮む。
「ふふん」
と鼻で笑った時には、ガラリ人間が変わっていた。
「飛び込んで来た冬の蠅さな。死ったのは自業自得だ。押し詰まった師走二十日に二十両たア有難え」
ボーンと鐘の鳴ろうと云うところだ。凄く笑ったか笑わないか、おりから悪い雪空で、そこまでは鮮明り解らない。
スタスタと武士は行き過ぎようとした。
「お武家様!」
と呼ぶ声がする。ギョッとして武士は足を早める。
「お待ちなせえ!」と――また呼んだ。
無言で振り返った鼻先へ、天水桶の小蔭からヒラリと飛び出した男がある。頬冠りに尻端折り、草履は懐中へ忍ばせたものか、そこだけピクリと脹れているのが蛇が蛙を呑んだようだ。
「身共に何ぞ用事でもあるかな?」
しらばっくれて武士は訊いた。
「ふてえ分けをおくんなせえ」頬冠りの男は錆のある声でまず気味悪く一笑した。
「なるほど」
と武士もそれを聞くと軽い笑いを響かせたが、
「いや見られたとあるからは、仲間の作法捨てては置けまい」
云い云い懐中へ手を入れると、しばらく数を読んでいたが、ひょいと抜き出した左手には、十枚の小判が握られていた。