Classici giapponesi con furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Leggi 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.745 caratteri · 216 schermate
「誰だ誰だ、名をいいねえ」
「新助だよ、早く開けろ」
「稲葉の兄貴か、はいりねえ」
潜り戸が開き人影が消え、ふたたび潜り戸がとざされた。
その後はしばらく静かであった。
またもその時足音がした。足駄と草鞋との音であった。忽ち二つの人影が、弓之助の前へ現われた。その一人は旅僧であった。手甲、脚絆、阿弥陀笠、ずんぐりと肥えた大坊主であった。もう一人の方は六部であった。負蔓を背中にしょっていた。白の行衣を纏っていた。一本歯の足駄を穿いていた。弓之助の前を通り過ぎ、例の屋敷の門前まで行った。ちょっと二人は囁き合った。ツと旅僧が潜り戸へ寄った。指でトントンと戸を打った。すぐに中から声がした。
「かかる深夜に何人でござるな?」
「鼠小僧外伝だよ」
つづいて六部が忍ぶようにいった。
「俺は火柱夜叉丸だ」
例によって潜り戸が、ギ――と開いた。二人の姿は吸い込まれた。ゴトンと鈍い音がした。どうやら閂を下ろしたらしい。サラサラサラサラと風が渡った。ポタポタと八重桜の花が落ちた。そのほかには音もなかった。
ガラガラと飛び出した四筋の鎖
闇に佇んだ弓之助は、考え込まざるを得なかった。