Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.163 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

主人の久兵衛は背後から言葉を添えます。

平次は死骸に近寄って、顔の晒布を取りました。血を喪った娘の顔は青白く引緊って、死色の濃い頬に、柔かい鼻筋が影を落しているのも哀れですが、カッと開いた眼には、恐怖と怨恨が凍り付いて、美しいだけに、物凄まじさも一としおです。

胸――左乳の上の短刀は抜いて、白紙に包んだまま床の側に置いてあります。検屍前はこの忌わしい道具も取隠すわけに行かなかったのでしょう。刃渡り六寸ほどの細身の直刃で、なかなかの業物らしく、拵えも見事、武家娘の嫁入り道具にふさわしい品です。

「これは、お嬢様の品に相違ないでしょうな」

平次は秋山佐仲を顧みました。

「母親の形見――娘の嫁入り道具の一つに相違ないが、家を出るとき忘れたとやらで、仲人の伊賀屋さんが、箪笥の上で見付けて、駕籠の中へ入れてやったようであった――」

秋山佐仲の話は次第に落着きを取戻して、事務的に進みます。

「?」

「へエ、私がその仲人の伊賀屋源六で、――秋山様の仰しゃる通りでございます。宇田川町を出たのは暗くなりかけた時分でございました。フト見ると、お嬢様のお部屋に、女持の懐剣が残っておりましたので、あわててまだ庭にいる駕籠の中へ入れて差上げました」