Classici giapponesi con furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate
けれ共最終の、
「いつかは御わびをする事もあろうかと存じます」
と云うのがきにかかってもしかすると書おきででもありぁしないかとさえ思った。けれ共、あの位考のある女が今死んでどう云うわけがあるかと云う事がわかって居るであろうと思って幾分かの安心は持って居た。
其の晩はもとより寝床に入ったものはなかった。外の女達はしずんだかおをして居ながら――又経をくりかえしながら退屈しのぎに時々は低い声でしゃべって居たけれ共、紅一人は持仏の室に入ったきり夜一夜かねをならし、通る細いしおらしい声で経をよんで居た。経の切れ目切れ目にはかすかに啜泣きするらしい様子が女達の心を引きしめてだらしなく居ねぶるものなどは一人もなかった。
夜が明けて各々のかおがはっきり見えるようになると又かなしみも明るみにハッキリかおをだしてきのうの今頃と云う感じがたれの頭にでもあった。化粧もうっすり黒い衣をきなくちゃならないのがまだこの部屋に来てまもない女等は辛いように思われた。早い内に殿も身に喪服を着て、
「どんな様子だい、いくら悲しいと云ってもあんまり力をおとさないでおくれ」
斯う云われると今更のように涙が流れ出して云い合せに女は泣き伏した。