Classici giapponesi con furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate
「この里の東の海辺の家は大変景色がよいそうだから
そこへ行くようにすすめてお呉れ」
と云ってよこしたので乳母は、
「『この里の東の海辺の家は大変よい景色だそうだから行って見たら』と西の対から云っておよこしになりましたから行って御覧になりませんか」
と云ってすすめると光君は青ざめて凄いまで美くしさのました顔を上げて、
「そんなむごい事は云わないでお呉れ。どうせ死ぬ命ならせめてあの人の居る家で死にたいのだから。私はどんなにそれをのぞんで居るだろう」
と云って目を閉じて涙を流して居るので、
「じょうだんにもそんな事をおっしゃってはいけません。どうぞ貴方の御身御案じ申し上げて居る多数の家の人のためにとお思になっていらっしゃって下さいませ、キット私はあとから彼の方もすすめてあちらの家にあげる様にいたしますから」
と二日も四日もかかってすすめたので、
「それではキットそうしてお呉れ私は行きたくもないところへそれ許りをたのしみにして行くのだ。若し約束が違えば目を開いて二度お前の顔を見ることはないだろう。じょうだんだと思ってきいてお呉れでない」
とさんざん物悲しい事をならべたあげくとうとう行くことに返事されたのでにわかに一所に行く供人をえらんだり何かかにか用意するのに一週間許りは夢のように立っていよいよその日になった。