Classici giapponesi con furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate
人々の夏やせはいつもの年よりは、目立って見えた、蝉もないた。日ぐらしも。草むらにほたるは人だまのようにとんで、朝がおは朝早くさいて日の上らない内にしぼんでしまった。こんなことを毎日くりかえしてものうい夏にそぐわぬ力のない日を送って居る内に、もう、桐の葉の一葉又一葉凋落の秋をさとすように落ちはじめた。
「もう秋ですものネー、春の御宴の時からもう冬をこせば一年になりますもの」
人達は今更のようにこんなことを云い合った。
薄の穂に桐の梢に秋は更けた。庭のやり水がかれて白い、洗われた石がみにくく姿をさらして居るのを人達は何か知れないものをさとされるような気がしてそれをじっと見ては居られないようで有った。
「この秋、若君は御なおりなされなければ悲しいことは有るに違いない」
こんなたよりのない、あきらめたようなことばも誰云うとなく口々にのぼった。
「なまじ生きて居て悲しいつらい目に合わせるよりはね」
涙も枯れたようになった母君は救の言葉を見つけたようにこんなことを云って居た。紅や乳母はこのことをきいて、
「一体だれがそんなことを云いだしたんでしょう」
「誰だか知らないけれ共、あんまりじゃありませんかネエ、私達はいじにも御なおし申さなくっては」