Classici giapponesi con furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate
殿も、そのわきに他の女よりも強いかなしみにとらわれて物狂おしい様な紅の様子を、前からの事に引きくらべてよけいかあいそうにおもわれたのでなぐさめるつもりで、
「気をしっかり持って御呉れ、紅、人の命がはかないものだと云う事、人間と云うものは弱いものだと云うことは御前も前から知って御いでだろう……悲しい事つらい事は人を玉にするみがきだと御思い。御前はまだ若いんだもの、末にどんなに楽しいうれしい時もあるんだからネー、私は口ばかりでなく、心から御前の心のかなしさを同情して居る人の一人なんだからネー」
やさしい思いやりのある声でさとして、殿はマーブルのようにかたくしまった女のかおをのぞき込んだ。
「私はあの人の可愛らしい霊がしずかにやすまって居られる様にしなくてはならないのだからネ、私はこれから池に行って見るから……」
悲しい心にさわる事を気づかう様に云う。
「まことに恐入りますが……私もお連れ下さいませ。御心配には及びませんでございます、もう落つきましてすから」
はっきりとした口調で落ついて云ったので殿は少しおどろきながら、
「行きたいのなら御いで……だけれ共私にこれ以上かなしい目にはあわせないで御呉れ」