Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にしきぎ

錦木

宮本 百合子

Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate

Aozora Bunko

その内光君様が西の対の君さまのところへ御通いあそばす様に御なりになりましてからも、その始っから私は光君の御望の叶わないと申すことは存じて居りましたけれ共、私は自分の心にひきくらべてその御苦しさを御察し申上げて二人の中をどうにでもしてと存じて西の対へもいろいろと云ってやりました。私は気の狂いそうにかなしい中に人よりも一寸でもまさった事をすると申すのがなぐさめで居りました。紫の君さまの御心づよさは光君の御心を狂わせてしまいました、私は自分の貴い玉にきずがついたように感じました。

毎日、毎日、私は自分の命にかえてもと思って御世話申しました。光君はよく私の云う事を御きき下さいまして何でも私の手でなければ御気にめさないほどでございました。それが又どんなにうれしかったでございましょう、光君様の御体が御なおりあそばしたならこんなに御世話申しあげた事も御忘れあそばすだろうと存じますと……それもかなしみの一つでございました。

いつまでたっても光君様は御なおりになりませんでした。春がすぎ夏となって又秋をむかえても、……随分長い久しい間でございましたが、その間、私は幾度か正気のなくっていらっしゃる光君に思ってる事をうちあけて申しあげて仕舞おうかと存じましたが、それもわるい事と思う心がおさえつけてしまって居りました。