Classici giapponesi con furigana
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かぎ
鍵
谷崎 潤一郎
Leggi 鍵 (かぎ) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.182 caratteri · 200 schermate
私は敏子には、私の日記の存在をかつて知らした覚えはない。しかし木村を通してでも、またそうでなくても、何かの折々に感づいていたことであろうし、まして病人が口走ったとすれば、直ちにピンと来たであろう。「ヨウダンス、―――」と、病人が茶の間の方を指さす。敏子が茶の間へ行って用箪笥の抽出を捜してみる、が、もはや日記帳はそこに置いてないことが知れる。「分った、きっと二階だわ」と、敏子が云って二階を捜す。そんな場面が私には想像される。―――とにかくそういう風にして、まずこの前の日曜に十七日以後も日記を附けていることが知れる。そして今日の日曜に、日記帳が用心深く二冊に製本し直されており、一冊は二階に、一冊は階下に置かれていることが分る。―――それならできないことではない。―――
さしあたっての私の当惑は、もしこの推定が当っているとすれば、これから以後の日記をどうしたらよいか、ということであった。私はいったん附け始めた日記を、障害に出遇ったからといって、中絶する気にはなれなかった。そうかといって、これ以上盗み読まれることは、避けられるだけは避けた方がよい。今日から私は、昼寝の時間に二階で書くことを止めにする。