Classici giapponesi con furigana
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かぎ
鍵
谷崎 潤一郎
Leggi 鍵 (かぎ) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.182 caratteri · 200 schermate
私はそれを随分早くから感づいていた。ただ、私以上に陰険である彼女は、「自分の方が母より二十年も若いにかかわらず、容貌姿態の点において自分が母に劣っている」ことを知っており、木村の愛がより多く母に注がれていることを知っているがゆえに、まず母を取り持っておいて徐ろに策を廻らすつもりでいたことも、私には読めていた。しかし二人を取り持つについて、彼女と木村との間にあらかじめどれだけの連絡があったのかは、いまだに私によく分らない。たとえば、彼女が関田町へ間借りしたのは、螢光燈に辟易したためばかりでなく、木村の下宿が近いということも、初めから考慮の中にあったことと思われるけれども、それは木村の入れ智慧だったのか、彼女が単独で思いついたことなのか。あれは敏子が勝手にお膳立てをしたので、「僕は据え膳の箸を取っただけだ」と、木村は云っていたけれども、真相はどうなのであろうか。私はそういう点については、今も木村を信用していない。
敏子が私を嫉妬していたように、私も内心敏子に対してかなり激しい嫉妬を燃やしていた。にもかかわらず、私は努めてそのことを人にも悟らせず、日記にも書かないようにしていた。