Classici giapponesi con furigana
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に、さんば――じゅうに、さんば
鏡花短篇集
泉 鏡花
Leggi 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.305 caratteri · 66 schermate
「これは失礼なことを申しました。お姿は些ともそうらしくはございませんが、結構な御経をお読みなさいますから、私は、あの、御出家ではございませんでも、御修行者でいらっしゃいましょうと存じまして。」
背広の服で、足拵えして、帽を真深に、風呂敷包を小さく西行背負というのにしている。彼は名を光行とて、医科大学の学生である。
時に、妙法蓮華経薬草諭品、第五偈の半を開いたのを左の掌に捧げていたが、右手に支いた力杖を小脇に掻上げ、
「そりゃまあ、修行者は修行者だが、まだ全然素人で、どうして御布施を戴くようなものじゃない。
読方だって、何だ、大概、大学朱熹章句で行くんだから、尊い御経を勿体ないが、この山には薬の草が多いから、気の所為か知らん。麓からこうやって一里ばかりも来たかと思うと、風も清々しい薬の香がして、何となく身に染むから、心願があって近頃から読み覚えたのを、誦えながら歩行いているんだ。」
かく打明けるのが、この際自他のためと思ったから、高坂は親しく先ず語って、さて、
「姉さん、お前さんは麓の村にでも住んでいる人なんか。」
「はい、二俣村でございます。」
「あああの、越中の蛎波へ通う街道で、此処に来る道の岐れる、目まぐるしいほど馬の通る、彼処だね。