Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ながやてんいちぼう

長屋天一坊

山本 周五郎

Leggi 長屋天一坊 (ながやてんいちぼう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.453 caratteri · 57 schermate

Aozora Bunko

「へっ、大岡様にゃあ敵わねえ」

などと虚栄的な感想をもらす。要するにそれだけのことなのであって、特別に唸り出すほどの問題ではないと思う。

天一坊ならびにその連累者たちは、極刑に処せられた。すなわち事件は決着したのであるが、甚だ奇怪にも、愚昧なる市民たちは納得しなかった。

天一坊が現われたときは、かれらはやみくもいきり立ったではないか。公方様にお家騒動を起こそうなんてずぶてえ野郎だ。おらっちの将軍家を乗っ取ろうとはいけっぷてえ畜生だ、石臼で粉にひいてあべ川にしてしまえ。

こういう種類の劣等なる評をしたではないか、にも拘らず一味が極刑に行われると、市民どもは前言を飜して、各自が急にひそひそ話を始めたのである。

「これあごくないだがな、おらあこんどのお裁きは眉睡だと睨んでるんだ、あれにあおめえ裏の裏があるぜ」

「裏の裏たあなんの裏だ」

「大きな声じゃあ云えねえが、おう、ちょいと耳を貸しねえ、よしか、これはごくないだがな、あれあおめえ本物だあ」

「へええ――そうか、やっぱり本物かえ」

「そうだってことよ、あれあ慥かに将軍様の御落胤よ、ひとに饒舌っちゃあいけねえぜ、ごくないの話だからな、よしか、こんなことがわかったらおめえ文句なしに、これだあ」