Classici giapponesi con furigana
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ながさきのいんしょう
長崎の印象
宮本 百合子
Leggi 長崎の印象 (ながさきのいんしょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.996 caratteri · 28 schermate
黒地に金で“Exchange. Chin Chu Riyao.”然し、ここでも硝子戸の陰に、人の姿は見えない。
五月の『文芸春秋』に、谷崎潤一郎さんが、上海見聞記を書いておられる。なかに、ホテルについて、マジェスティックが東洋第一といいながら、ボルト酒のよいのを持たない、「長崎のジャパン・ホテルにだって一九一一年のブルガンディー酒があるくらいだのに」云々とある。読んだ時、私は思わず頬笑んだ。秘密な愛すべき可笑しさが、ジャパン・ホテルにだってという四字からひとりでに湧き上って来るのだ。
今もいった通り、異様に森閑とした波止場町から、曲って、今度は支那人の裁縫店など目につく横丁を俥は走っている。私は、晴やかな希望をもって頻りにその町のつき当り、小高い樹木の繁みに注目していた。外でもない。我等のジャパン・ホテルは確にそこに在るらしかった。緑の豊かな梢から、薄クリーム色に塗料をかけた、木造ながら翼を広やかに張った建物が聳え立っている。そのヴェランダは遠目にも快活に海の展望を恣ままにしているのが想像される。大分坂の上になるらしいが、俥夫はあの玄関まで行くのであろうか。