Classici giapponesi con furigana
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ながさきのいんしょう
長崎の印象
宮本 百合子
Leggi 長崎の印象 (ながさきのいんしょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.996 caratteri · 28 schermate
――これは予定の行動であった。若し第一瞥が余り思わしくなかったら、お昼だけに仕て置こうという停車場での相談を、私は適宜に運用したに過ぎない。
「どうぞこちらで暫くお待ち下さい」
番頭が、ホールの隣の戸を開けた。
南欧風に、中庭を囲んでぐるりと奥ゆきある柱廊づきの二階が建廻されている。やはり緑色ペンキ塗の大きい部屋の鎧戸は閉り、中庭に咲き盛っている躑躅の強烈な赤い反射が何処となくちらついているようだ。私は、必要な場所場所を探険して、戻った。Yは、明治十七八年頃渡来したまま帰るのを忘れた宣教師の応接間のような部屋で、至極安定を欠いた表情をして待っている。
「――支那的ね」
「この位の規模でないと遣って行けないんだな、長崎というところは……」
「――駄目でしょう?」
「どんなだった?」
勝気な女らしく潔癖なYが、気味わるげに訊くので、私はふき出し、少し揶揄いたくなった。
「そんなじゃあないわ。支那へ来たと思えばよすぎる位よ。――でも――いそうね」
「何が」
「なんきんむし」
「御免、御免! 風呂とはばの穢いのだけはかなわない」
――どうもホテルにいるという気分がしない。