Classici giapponesi con furigana
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ながさきのかね
長崎の鐘
永井 隆
Leggi 長崎の鐘 (ながさきのかね) di 永井 隆 (ながいたかし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 65.109 caratteri · 131 schermate
「死生命あり」小倉の男は腰から扇子をとって汗をあおぐ。「生きるも死するも、人に笑われんごと」
ひっそりとなった。さるすべりも夾竹桃もカンナもよどんだ血のように動かない。その中を脈打つような蝉の声が向こうの山王神社の大楠から流れてくる。
この日は防空当番教官にあたっていた私が、病院の玄関から入って大廊下を裏門まで見回る。どの病室の入口にも甲斐甲斐しく服装をととのえた看護婦、学生が身構えしている。
バケツは水でいっぱいだ。水道ホースも延びている。火叩き、鳶口、スコップ、鍬、いざといえば焼夷弾ぐらいはとばかり揃っている。入院患者は防空壕の中へ静かに運ばれてゆく。ラジウム室の前で医専三年の上野君にあう。この男はなかなか勇敢だ。この間の空襲で、婦人科から発火した時は隣の皮膚科の屋上に独りいて、監視の重任を果たしたのだった。私らが婦人科の炎にバケツをもって駆けつけた時、まだ敵機は続いて急降下爆撃をしていたが、上野はその弾の落ちてくる中で「おーい、敵機頭上通過、大丈夫、出て来い、燃えよっぞ」とか、「また来たぞ、落としたぞ、退避、危ないぞ」とか、いちいち叫んで、指導した。