Classici giapponesi con furigana
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かいひいちようちょう
開扉一妖帖
泉 鏡花
Leggi 開扉一妖帖 (かいひいちようちょう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.898 caratteri · 40 schermate
女形、二枚目に似たりといえども、彰義隊の落武者を父にして旗本の血の流れ淙々たる巡査である。御先祖の霊前に近く、覚悟はよいか、嬉しゅうござんす、お妻の胸元を刺貫き――洋刀か――はてな、そこまでは聞いておかない――返す刀で、峨々たる巌石を背に、十文字の立ち腹を掻切って、大蘇芳年の筆の冴を見よ、描く処の錦絵のごとく、黒髪山の山裾に血を流そうとしたのであった。が、仏法僧のなく音覚束なし、誰に助けらるるともなく、生命生きて、浮世のうらを、古河銅山の書記になって、二年ばかり、子まで出来たが、気の毒にも、山小屋、飯場のパパは、煩ってなくなった。
お妻は石炭屑で黒くなり、枝炭のごとく、煤けた姑獲鳥のありさまで、おはぐろ溝の暗夜に立ち、刎橋をしょんぼりと、嬰児を抱いて小浜屋へ立帰る。……と、場所がよくない、そこらの口の悪いのが、日光がえりを、美術の淵源地、荘厳の廚子から影向した、女菩薩とは心得ず、ただ雷の本場と心得、ごろごろさん、ごろさんと、以来かのおんなを渾名した。――嬰児が、二つ三つ、片口をきくようになると、可哀相に、いつどこで覚えたか、ママを呼んで、ごよごよちゃん、ごよちゃま。