Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
かのように
阿部一族・舞姫
Leggi 阿部一族・舞姫 (かのように) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.875 caratteri · 141 schermate
石田はこんな日には、朝から夏衣袴を着て応対する。
客は大抵同じような事を言って帰る。今年は暑が去年より軽いようだ。小倉は人気が悪くて、物価が高い。殊に屋賃をはじめ、将校の階級によって価が違うのは不都合である。休暇を貰っても、こんな土地では日の暮らしようがない。町中に見る物はない。温泉場に行くにしても、二日市のような近い処はつまらず、遠い処は不便で困る。先ずこんな事である。石田は只はあ、はあと返事をしている。
中には少し風流がって見る人もある。庭の方を見て、海が見えないのが遺憾だと云ったり、掛物を見て書画の話をしたりする。石田は床の間に、軍人に賜わった勅語を細字に書かせたのを懸けている。これを将校行李に入れてどこへでも持って行くばかりで、外に掛物というものは持っていないのである。書画の話なんぞが出ると、自分には分らないと云って相手にならない。
翌日あたりから、石田も役所へ出掛に、師団長、旅団長、師団の参謀長、歩兵の聯隊長、それから都督と都督部参謀長との宅位に名刺を出して、それで暑中見舞を済ませた。
時候は段々暑くなって来る。蝉の声が、向いの家の糸車の音と同じように、絶間なく聞える。