Classici giapponesi con furigana
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かのように
阿部一族・舞姫
Leggi 阿部一族・舞姫 (かのように) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.875 caratteri · 141 schermate
秀麿が為めには、神話が歴史でないと云うことを言明することは、良心の命ずるところである。それを言明しても、果物が堅実な核を蔵しているように、神話の包んでいる人生の重要な物は、保護して行かれると思っている。彼を承認して置いて、此を維持して行くのが、学者の務だと云うばかりではなく、人間の務だと思っている。
そこで秀麿は父と自分との間に、狭くて深い谷があるように感ずる。それと同時に、父が自分と話をする時、危険な物の這入っている疑のある箱の蓋を、そっと開けて見ようとしては、その手を又引っ込めてしまうような態度に出るのを見て、歯痒いようにも思い、又気の毒だから、いたわって、手を出させずに置かなくてはならないようにも思う。父が箱の蓋を取って見て、白昼に鬼を見て、毒でもなんでもない物を毒だと思って怖れるよりは、箱の内容を疑わせて置くのが、まだしもの事かと思う。
秀麿のこう思うのも無理は無い。明敏な父の子爵は秀麿がハルナックの事を書いた手紙を見て、それに対する返信を控えて置いた後に、寝られぬ夜などには度々宗教問題を頭の中で繰り返して見た。そして思えば思う程、この問題は手の附けられぬものだと云う意見に傾いて、随ってそれに手を著けるのを危険だとみるようになった。