Classici giapponesi con furigana
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ちんじょうしょ
陳情書
西尾 正
Leggi 陳情書 (ちんじょうしょ) di 西尾 正 (にしおただし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.750 caratteri · 38 schermate
を立てる事に致しました。飲む程に酔う程に、――※(始め二重括弧、1-2-54)と申しましても私は如何程酒精分を摂っても足許を掬われる程所謂泥酔の境地は嘗て経験した事無く、只幾分か頭脳が茫乎して来まして所謂軽度の意識溷沌に陥り追想力が失われる様で有ります。従って酔中の行動に就いては覚醒後全然記憶の無い場合が往々有ったのであります※(終わり二重括弧、1-2-55)――益々好色的な気分に成って未だ当の定らない裡に最早や其の牛屋に坐って居る事に怺えられなく成り、歩き乍ら定めようと元の活動街の方へ引返して参りました。池之端の交番を覗くと時間は意外に早く経過したものと見え時計は十一時半頃を示して居りました。閉館後の建物は消灯して仄暗い屋根を連ね人脚もばったり途絶えて、偶に摺れ違う者が有れば二重廻しに凍え乍ら寒ざむと震えて通る人相の悪い痩せた人達許りで、空には寒月が皎々と照り渡って居りました。酔中の漫歩は自ら女郎屋に這入る千束町の通りを辿りまして、軈て薄暗い四辻に出た時です。――旦那、……もしもし、……旦那。……と杜切れ杜切れに呼ぶ皺枯れた臆病想な声が私の耳の後で聞えました。