Classici giapponesi con furigana
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ざっき(に)
雑記(Ⅱ)
寺田 寅彦
Leggi 雑記(Ⅱ) (ざっき(に)) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6640 caratteri · 14 schermate
しかしそれにしてもこのボーイの外貌について、一つ著しい変化の起っているのを見逃す事は出来なかった。それは、地震前には漆のように黒かった髪の毛が、急に胡麻塩になって、しかもその白髪であるべき部分は薄汚い茶褐色を帯びている事であった。そして、思いなしか、眼の光にも曇りが出来て、何となしに憔悴した表情がこの人の全外容に表われているのであった。
私は別に何事も深く尋ねてもみなかった。ただ地震当時の模様など聞いたばかりで帰って来た。
その後また行ってみると、今度はまた男ボーイは居ないで前の女がただ一人で給仕をつとめていた。あの男はまた病気でもしているのかと思って聞いてみると、先日からもう暇を取って、ここには居ないというのである。どうしてかと聞いてみると、よくは分らないが、何か間違いでも仕出かして、一度出されかかったのを、定客か誰かの仲裁で、再び元通りになっていた。しかしやはり工合が悪くて、結局自分でよしてしまったのであるらしい。
この事件の内容については、それきりで何事も自分には分らない。しかし、それは、もしあの大震災さえなければ起らなかったような事件ではなかったろうかという気がした。