Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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エス・オー・エス・ボーイ

難船小僧

夢野 久作

Leggi 難船小僧 (エス・オー・エス・ボーイ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.169 caratteri · 43 schermate

Aozora Bunko

そうした一種の鬼気を含んだ船長の顔と、部屋の隅でバナナを切っている伊那少年の横顔を見比べると、まるで北極と南洋ほど感じが違う。

毬栗の丸い恰好のいい頭が、若い比丘尼みたいに青々としている。皮膚の色は近頃流行のオリーブって奴だろう。眼の縁と頬がホンノリして唇が苺みたいだ。睫毛の濃い、張りのある二重瞼、青々と長い三日月眉、スッキリした白い鼻筋、紅い耳朶の背後から肩へ流れるキャベツ色の襟筋が、女のように色っぽいんだ。青地に金モールの給仕服が身体にピッタリと吸付いているが、振袖を着せたら、お化粧をしなくとも坊主頭のまんま、生娘に見えるだろう。なるほど毛唐が抱いてみたがる筈だ……と思っているトタンに、白いバナナの皿を捧げた小僧がクルリとこっち向きになって頭を一つ下げた。俺の顔を、憐れみを乞うようにソッと見上げた。それから恋人に出会った少女みたいな桃色の、悩ましげな微笑を一つニッコリとして見せたもんだ。

俺はゾッとしてしまったよ。……まったく……魔物らしい妖気が、小僧の背後の暗闇から襲いかかって来たように思ったもんだよ。

俺は紅茶もバナナも良い加減にして故郷の地獄……機関室へ帰って来た。