Classici giapponesi con furigana
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エス・オー・エス・ボーイ
難船小僧
夢野 久作
Leggi 難船小僧 (エス・オー・エス・ボーイ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.169 caratteri · 43 schermate
二十四時間以内の積込みですからね。明日の間になら合うかも知れませんが……皆モウ……ヘトヘトなんで……」
船長の額に深い竪皺が這入った。コメカミがピクリピクリと動いた。当惑した時の緊張した表情だ。こうした場合の、そうした船員の気持が、わかり過ぎる位わかっているんだからね。
それから船長は白いハンカチで唇のまわりを叮寧に拭いた。ソロソロと立ち上って伊那少年を見下した。伊那少年も唇を真白にして、涙ぐんだ瞳を一パイに見開いて船長の顔を見上げたもんだ。
その時の船長の云うに云われぬ悲痛な、同時に冷え切った鋼鉄のような表情ばかりは、今でも眼の底にコビリ付いているがね。
船長はコメカミをピクピクさせながら大きく二度ばかり眼をしばたたいた。俺の顔をジッと見て念を押すように云った。
「大丈夫だろうな」
俺は無言のまま無造作にうなずいた。
俺と一所に静かに、二三度うなずいた船長は伊那少年を顧みて、硝子のような眼球をギラリと光らした。決然とした低い声で云った。
「……ヨシッ……行けッ……」
「ウワア――アッ……」
と伊那少年は悲鳴を揚げながら船長室を飛出したが……その形容の出来ない恐怖の叫び、悲痛の響、絶体絶命の声が俺は、今でも思い出すたんびにゾッとする。