Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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エス・オー・エス・ボーイ

難船小僧

夢野 久作

Leggi 難船小僧 (エス・オー・エス・ボーイ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.169 caratteri · 43 schermate

Aozora Bunko

「居るもんけえ。飲まず食わずでコンナ船の中へ居れるもんじゃねえちたら。逃げたんだよ」

と皆を制したのでソレッキリ探そうとする者もなかった。しかし、それでも伊那少年の行方は妙に皆の気にかかってしまったらしく、狭い廊下や、デッキの片隅を行く船員の眼はともすると暗い処を覗きまわって行くようであった。

船を包む霧は益々深く暗くなって来た。

モウ横浜を出てから十六日目だから、大圏コースで三千哩近くは来ている。ソロソロ舵をE・S・Eに取らなければ……とか何とか船長と運転手が話し合っているが、俺はどうも、そんなに進んでいるような気がしなかった。しかもその割りに石炭の減りようが烈しいように思った。これは要するに俺の腹加減で永年の経験から来た微妙な感じに過ぎないのだが、それでも用心のために警笛を吹く度数を半分から三分の一に減らしてもらった。同時に一時間八浬の経済速度の半運転を、モウ一つ半分に落したものだから、七千噸の巨体が蟻の匍うようにしか進まなかった。

「オイ。どこいらだろうな」

「そうさなあ。どこいらかなあ」

といったような会話がよく甲板の隅々で聞こえた。むろん片手を伸ばすと指の先がボーッと見える位ヒドイ霧だから話している奴の正体はわからない。