Classici giapponesi con furigana
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エス・オー・エス・ボーイ
難船小僧
夢野 久作
Leggi 難船小僧 (エス・オー・エス・ボーイ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.169 caratteri · 43 schermate
「オイオイ。機関長か……」
船長室から電話がかかる。
「僕です。何か用ですか」
「ウン。もっとスピードが出せまいか」
「出せますが、何故ですか」
「船がチットも進まんチウて一等運転手が訴えて来おるんだ」
「今十六節出ているんですがね。義勇艦隊のスピードですぜ」
「馬鹿。出せと云ったら出せ」
「ドレ位ですか」
「十八ばっか出しちくれい」
「最大限ですね」
「ウン。石炭は在るかな」
「まだ在ります。全速力で四五日分……」
「……ヨシ……」
ガチャリと電話が切れたと思うと、やがて船腹を震撼する波濤の轟音が急に高まって来た。タッタ二節の違いでも波が倍以上大きくなったような気がする。又実際、船体のコタエ方は倍以上違って来るので、石炭の消費量でもチットやソットの違いじゃない。
そのうちに高緯度の癖で、いつとなく日ばボンヤリと暮れて、地獄座のフットライト見たいなオーロラがダラダラと船尾にブラ下った。その下の波の大山脈の重なりを、夜通しがかりで白泡を噛みながら昇ったり降ったり、シーソーを繰り返して翌る朝の薄明りになってみると、不思議な事に船体は、昨日の朝の通り聖エリアスとフェア・ウェザーの中間に船首を固定さしている。