Classici giapponesi con furigana
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あめ
雨
織田 作之助
Leggi 雨 (あめ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.261 caratteri · 44 schermate
金助からさような家柄についてついぞ一言もきかされたこともなく、むろん軽部も知らず、軽部がそれを知らずに死んだのは彼の不幸の一つだった。お君にそれを知らさなかった金助も金助だが、お君もまたお君で、
「そんなもん私には要用おまへん」
と、大西主人の申出を断り、その後、家柄のことなど忘れてしまった。利子の期限云々とむろん慾にかかって執拗にすすめられたが、お君は、ただ気の毒そうに、
「私にはどうでもええことでっさかい。それになんでんねん……」
電車会社の慰謝金はなぜか百円そこそこの零砕な金一封で、その大半は暇をとることになった見習弟子にくれてやる肚だった。
そんなお君に中国の田舎から来た親戚の者は呆れかえって、葬式、骨揚げと二日の務めをすますと、さっさと帰って行き、家の中ががらんとしてしまった夜、異様な気配にふと眼をさまして、
「誰?」
と暗闇に声を掛けたが、答えず、思わぬ大金をもらって気が変になったのか強くなったのか、こともあろうにそれは見習弟子だとやがて判った。抗ったが、なぜか体が脆かった。
あくる日、見習弟子は不思議なくらいしょげ返ってお君の視線を避け、むしろ哀れであったが、夕方国元から兄と称する男が引取りに来ると、彼はほっとしたようだった。