Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あめあがる

雨あがる

山本 周五郎

Leggi 雨あがる (あめあがる) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.794 caratteri · 43 schermate

Aozora Bunko

宿の主婦も口を添えた。

「――旦那がああ仰しゃるんだから、此処へ来て御馳走におなんなさいな」

続いてみんながすすめた。酒のきげんばかりでなく、この人たちは喜びや楽しみを独占することができないのである。タガ直しの源さんの女房が立ってゆき、手を取って女をつれて来た。彼女はつんとすました顔で坐り、義理で飲んでやるんだというふうに、黙って反りかえって盃を取った。

「さあ賑やかにやりましょう」伊兵衛は大きな声で云った、「――天が吃驚してこの雨をしまいこむように、さあひとつ、みんなで……」

そしてまた騒ぎが始まると、伊兵衛はようやく勇気が出たようすで、自分の前にある膳を持って立ち、妻のいる三帖へ入っていった。

おたよは脚のちんばな小机に向って、手作りの帳面に日記を書いていた。ながい放浪の年月、それだけが楽しみのように、欠かさずつけて来た日記である。うす暗い行燈の光りを側へ寄せて、前跼みに机へ向っている妻の姿を見ると、伊兵衛は膳を置いてそこへ坐り、きちんと膝を揃えておじぎをした。

「済みません、勘弁して下さい」

おたよは静かに振返った。唇には微笑をうかべているが、眼は明らかに怒っていた。